ジャーナル「サイエンス」の3月26日号に掲載されたNASAのガリレオ探査機の新発見の報告によると、木星の月エウロペの氷の地表で、黒髪を一瞬にしてブロンズに変えることができる化学物質「過酸化水素」が発見されました。
「過酸化水素は、ほとんどすべての物と強く反応する本当におもしろい化学物質です。」と、エウロペで化学物質を見つけたガリレオの近赤外写像分光計の主任研究員ロバート・カールソン博士が言いました。 木星の高エネルギー粒子がエウロペの表面に衝突して新しい化学物質を生成するときに過酸化水素は絶えず生成されますと、カールソンは言います。 このプロセスは、放射線分解と呼ばれます。 「エウロペは木星のの激しい粒子放射線環境にさらされているので、めずらしい化学物質が見つかると予想されます。」と、カールソンが言いました。 過酸化水素は地球の地表の自然界に生成されません。その理由の1つは、地球上ではこの化学物質の生成プロセスが始まるほど十分な放射が当たらないからです。 「我々が地球上で過酸化水素が欲しいときは、工場でそれを作らなければなりません。過酸化水素は生成するとすぐに崩壊をはじめます。」と、カールソンが言いました。 「それは紫外線によって破壊されるか他の化学物質との接触によって変化するので、エウロペでのその寿命は数週間から数ヶ月と短いものです。過酸化水素は、科学反応を起こしてヒドロキシルと呼ばれる別の化学物質になり、最終的には酸素と水素ガスを発生させます。エウロペの地表の化学物質は絶えず生成しては崩壊するので、その化学物質の長期的な生立を研究することは困難でが、我々はその化学成分がその短い生涯で変化するのを観察するのに興味があります。 」と、カールソンが言っています。 エウロペや木星の他の月を研究することによって、それらの月がどのように木星と相互作用をしているのか、また同様なプロセスが太陽系の他の場所でも起こるのかどうかを知ることができます。 それぞれの化学分子はそれぞれの赤外光を吸収するので、科学者達はこの光のパターンを研究することによって、どんな化学物質が存在するのかを判定することができます。 この場合は、この観測装置はエウロペの地表からの赤外光を調べるのに使われて、過酸化水素の黒ずんだ領域を見つけます。 一般に過酸化水素は、エウロペの地表氷に溶けて色がついていないので人間の目には見えません。 ガリレオの観測装置は、これまでにエウロペの地表上で、亜硫酸ガス、ウォーターアイス、二酸化炭素、おそらく水を含む塩分子などのいくつかの化学物質を見つけました。 カールソンと他の科学者達には、エウロペの地表の化学性質を調べる機会がガリレオ探査機がエウロペのそばで飛ぶ11月25日にもう一度あります。 ガリレオは、木星を観測してきましたが、あと3年以上その月や磁場環境を調査します。 その主要なミッションは1997年12月に終了していますが、この探査機は「ガリレオ・エウロペ・ミッション」と呼ばれる2年間の延長ミッションを行っている途中です。 ガリレオ・ミッションは、ワシントン市のNASAの宇宙科学オフィスのJPLによって管理されています。 JPLは、カリフォルニア工科大学の部局です。 http://galileo.ivv.nasa.gov/press990326.html |