マーズグローバーサーベイヤーの軌道カメラが1999年7月1日に公開した画像No. MOC2-140。
火星の地質の中には、従来の単純な考え方では説明できないものがあります。
最近の例としては、Promethei Terraにある衝突クレーターの72キロメートル(45マイル)に広がる内壁上にありました。
左上の画像のクレータは、南緯39°西経247°に位置します。左の低解像度の画像に見える内壁にはが深い渓谷が刻まれています。
マーズ・オービター・カメラ(MOC)の高解像画像には、このクレータの内壁にあるそれぞれの渓谷には、物質が流れていたことを示す舌状層の模様が含まれているのが写っています。(最良で見るために、右上の画像をクリックしてフル画像にして調べて見て下さい)
それぞれの峡谷の中央の方へ集まってはっきりとした湾曲を示している隆起線や溝は、物資はこの画像の上から下へ流れたという事を暗示するような方向に向いています。
この模様はバターがホットケーキから皿に流れ落ちて広がるのと同様に、粘性流体が切り立った縁を形作り皿全体に外側に向かって広がっています。
この画像の中で見られる隆起線と溝はまた、物資がより狭い場所へと流れ込む時にできる種類の地形とは反対に、物質が狭い場所から出て広がったように思わせています。
泥流や溶岩流そして氷河でさえ、ほとんどの場合このように動きます。
これらの観測や単にその見え方だけに基づけば、人はこの地形はこの画像の上から下へ流れて形成されたと結論をくだすかもしれません。
しかしこのケースではそうはいきません!
この高解像度画像に写っている領域内で物資は上から下へ流れる事はできないのです。なぜならこの画像で最も低い部分に当たるクレーターの底が画像の上だからです。
高解像度画像の位置と正確な方位は、左画像の白いコンテキスト枠で示されています。
重力はこの峡谷の物質を高い方ではなく低い方へ引き寄せるはずなので、この渓谷に詰まった物資の上に見られる隆起線や溝の模様は説明がつきません。
この物質の性質(例えば、このパンケーキのバターのような物質はどれくらい粘りけがあるのか?それはどのくらいの速度で動くのか?)がわかれば説明がつくのかもしれません。しかし、現在はこの火星の現象を説明できないままです。
このコンテクスト画像(左上)は、火星軌道カメラの望遠カメラが高解像度画像(右上)を撮影するのと同時に広角カメラによって撮られました。
このようなコンテクスト画像は、新しく撮られた高解像度画像の位置を判断する簡単な方法として使われます。
両方の画像は、左上から日が当っています。
この高解像度画像は、幅3km(1.9mile)の領域をカバーしています。
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