考えもつかないような一対の星々の間の相互作用が、大きな砂時計の中に小さな砂時計を入れたような奇妙な形のガス星雲をつくったのかもしれません。
地上の望遠鏡で撮られた写真にも、大きな方の砂時計形の星雲は写っていました。 しかし、NASAのハッブル宇宙望遠鏡が撮ったこの写真は、大きな星雲の中央に小さな明るい星雲が埋め込まれている事を明らかにしました。(挿入画像はこの星雲のクローズアップ) 天文学者達は、この星雲全体を「南の蟹星雲」(He2-104)と呼んできました。何故なら地上からの望遠鏡ではそれが蟹の体と足のように見えたからです。 この星雲の長さは、数光年あります。 これらを形作る事ができたような物は、このワイド・フィールド・プラネタリー・カメラ2の画像には全く写っていません。 中央の星雲の中で小さく輝いているのは、一組の年老いた星々です。 それらのうちの1つの星は、その核燃料を使い尽くそうとして大きくなりすぎた星である赤色巨星で、その強力な星風の為に外側の層を脱落させています。 その伴星は、燃え尽きてしまった星、言わば宇宙のゾンビである高温の白色矮星です。 この赤色巨星と白色矮星の奇妙な二人組を、共生系と呼んでいます。 この赤色巨星はまた、そのパートナーから遠く離れた脈動型赤色巨星、ミラ変光星でもあります。 この2つの星がお互いの軌道を回るのには100年近くかかります。 天文学者達は、これらの2つの星の間の相互作用が物資の一時的な爆発を誘発して、この星雲を形成するガス状の泡をつくったのではないかと推測しています。 それらは、赤色巨星が強力な星風の中に乗せて自分の塊の一部を投げ、一方の白色矮星がその一部を受け取めるというような言わば宇宙の「キャッチボール」を楽しむ事で相互に作用します。 その結果、降着ディスクがこの白色矮星の周囲に形成され、高温の表面で螺旋形になっていきます。 物資を宇宙へ吹き飛ばす噴火が誘発されるまで、ガスはその表面上に積もり続けます。 この爆発は、「南の蟹星雲」では二度起こったのかもしれません。 天文学者達は、この砂時計形の星雲は、2回の別々の爆発が何千年も離れて起こった事を表していると思っています。 左下隅と右上隅の物資の高速の流れは、多分前の爆発の時に残った一部の物資が白色矮星の降着ディスクによって加速された物かもしれません。 この星雲は、南半球の星座「ケンタウルス座」に属していて、地球から数千光年離れています。 1999年5月に撮られたこの写真は、白色矮星の激しい放射によって活性化された窒素ガスの白熱を捕らえています。 これらの発見は、1999年8月3-6日にマサチューセッツ工科大学で開催された会議「非対称惑星星雲II:マイクロ構造の起源から」で発表されました。 オリジナル・ページで画像は入手できます。 |