この三裂星雲を撮ったNASAハッブル宇宙望遠鏡の画像は、近くの巨星からの放射線でバラバラになりつつある星の苗床を見せています。
この画像はまた、隣の巨星の輝きによって侵食される運命にある不運な塵やガスの雲の中で誕生したばかりの星ものぞかせています。 この星の活動は、我々の太陽のような星のライフ・サイクルがもっと強力な兄弟とどのように親密に結びついているかという美しい例です。 このハッブルの画像は、生まれたての星の苗床である塵やガスの濃い雲の小さな部分を写しています。 この雲は、この画像の上にはみ出した所にある星雲の中心星からおよそ8光年離れています。 三裂星雲は、地球から9,000光年の所に位置しており射手座の中にあります。 星のジェット(左上へ向かっている薄く細い物体)は、密集した雲の頂点から突き出て、星雲内で四分の三光年の長さに伸びています。 このジェットの源は、この雲の中に埋もれている非常に若い天体です。 このようなジェットは、星を形成する為の排出ガスなのです。 星雲中央の巨星からの放射線このジェットのガスを輝かせていますがそれが、星雲の他の部分をも光らせています。 この三裂星雲から噴出すジェットは、その重力で周囲からガスを集めながら輝き続ける特別に若い天体の経歴を教えてくれるチッカー・テープ(表示機)みたいなものです。 しかし、この特別なチッカー・テープはそんなに長くは働かないでしょう。 中央で輝く巨星はこの星雲を侵食し続けてこれから10,000年以内に星の形成を通りすぎその育成を突然かもしかすると早まった最後にもたらすでしょう。 近くの別の恒星は、すでにこの運命に直面しているのかもしれません。 このハッブル画像は、濃い雲の頂点から三裂星雲へエネルギーを供給している星の方へ伸びる「ストーク」(指のような物体)を写しています。 このストークは、以前にハッブルが写真に収めた別の星を形成するわし星雲の領域内で見られたようなガス状の「胞子」或いは「卵」の目だった特徴です。 このストークは、その頂点が強力な放射線で侵食されるのを免れるだけ十分に濃いガスの塊となっているので、残存できるのです。 卵の先端部で反射している星光は、三裂星雲の中心星或いは卵の中に埋もれている若い天体からの光によるものかもしれません。 同じように、卵から外側に向いている放射線の突起部が小さな星のジェットのように見えています。ハッブルの天文学者達は、ためらいながらもこのジェットを100,000年前にエネルギー供給ラインを断たれた星の最後のあえぎと解釈しています。 この画像は1997年9月8日に、水素原子、イオン化硫黄原子、重イオン化酸素原子からの放射線を分離するフィルターを通して撮られました。 この画像は単一色の合成画像を組み合わせたものです。つまりこの画像は本当の色ではありませんが、人間の目で見た場合の色を暗示しています。 上で紹介したハッブルの写真はここで入手できます。 |