STS ナンバーについて


  -----------------------------------------------------------------



 先月グレン議員や向井さんが乗ったディスカバリー号の時は STS-95 と呼んでいたのに、今回の国際宇宙ステーションの打ち上げミッションは STS-88 と数字が小さくなってしまいました。何故なのでしょう?

 まずNASAのページ

http://www-pao.ksc.nasa.gov/kscpao/schedule/schedule.htm

 を見て下さい。ここにはこれからシャトルが打ち上げられる順番に STS ナンバーが並んでいます。よく見ると STS ナンバーは順に並んでいないところがあります。 つまり STS ナンバー通りに打ち上げられるという事ではないようです。

 実は STS とは Space Transportation System 宇宙輸送システムの略で、フライトナンバーではなく計画そのものを表わしている数字なのです。物事は計画通りに行くとは限りません。後から立案された計画が先行してしまう事も良くある話です。特に今回の STS-88 はロシアのモジュールの製造遅れでかなり打ち上げが遅れました。従って後から計画されたミッションが先に打ち上がってしまったのです。 では何故 STS ナンバーをフライトナンバーと一致させていないのでしょうか?

 シャトル計画に関する書類や資料の数は膨大な量です。NASAは打ち上げの順番が入れ替わる度にこの書類を書き直したくないのです。

 現在の STS ナンバーは打ち上げ順番とは関係なく計画そのものを示していますが、過去には打ち上げ予定順序を表していた時代がありました。今度は  

http://www-pao.ksc.nasa.gov/kscpao/chron/chrontoc.htm

を見て下さい。

 ここには過去に打ち上げられたミッションがSTS ナンバーの順に並んでいますが、1984年から1986年まで STS ナンバーの表記方法は他の年代と異なります。下一桁が1となってその後ろにアルファベットが添えられています。

 この年代の STS ナンバーは、下二桁目がその年の年数の1の位を示し、下一桁目は打ち上げ基地を示し、最後のアルファベットが打ち上げられる順を表していたのです。この頃NASAは、シャトルをカリフォルニアのヴァンデンバーグ空軍基地からも打ち上げようと計画していました。そこでNASAは STS ナンバーでどの基地から打ち上げるのかも識別させようと考え、下一桁目をケープケネディー基地からの時は1、ヴァンデンバーグ空軍基地からの時は2と決めたのです。しかしその後ヴァデンバーグ空軍基地からの打ち上げ計画が断念されたので下一桁目が2になることはありませんでした。

 例えば、STS-51C の場合は1995年(5)の3番目(C)にケープケネディー空軍基地(1)から打ち上げるミッションだと言うことがわかります。この頃の打ち上げ予定順序を表すアルファベットも順番には並んでいません。この頃も予定通りには打ち上がらなかったようですね。

 ところで、この STS ナンバーの表記方法での打ち上げが STS-51L で終わっている理由はおわかりですね。そう STS-51L がチャレンジャー事故のミッションだったのです。この事故でヴァンデンバーグ空軍基地からの打ち上げ計画もなくなり STS ナンバーの表記方法は元に戻されて1988年のSTS-26 から再開されました。    



-----------------------------------------------------------------
   | Return to Main Page |