5月20日付け CNN Interactive TECH Space 掲載の論説記事

「ジョン・ホリーマンの The View forom Space 」


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ボタンにかけられた指

 先週お話している時、私がこれまで聞いた事の中で最も信じられない話を伝えようとして時間がなくなってしまいました。

 スペースシャトルのクルーが宇宙に旅立つ準備をする時、打ち上げ前に1ヶ月を使ってKSCで一連の打ち合わせが行われます。これらの打ち合わせの一つに射場安全チームと呼ばれるチームとの打ち合わせがあります。このチームはアメリカ空軍の士官からなり、フロリダの海岸から打ち上げられるロケットや飛行船のあらゆる危険から一般地区を守る仕事をしているのです。

   射場安全官は、シャトルが打ち上げ数秒後に操縦システムが故障し密集地区へ向きを変え始めた時は、シャトルを爆発させるという恐ろしい仕事をしているのです。もちろんかつてこのような事は起こってはいませんが、6月2日の打ち上げを準備している飛行士達は、2週間前に射場安全チームとのミーティングを行いました。チャーリー・プレコート船長は、射場安全官に妻や子供の写真を見せながら、自爆ボタンに指をかけている人達がシャトルがコースを外れた時に殺されるのは真の人間なのだという事を知っているのか確かめた飛行士の話を聞いたことがあると私に教えてくれました。

 プレコートは射場安全官との打ち合わせは標準的なものだったと語りました。彼らには打ち上げの時に作業を行う防備室の外にも彼らをサポートする何十人もの人たちがいます。外にいる観測者達はシャトルを追跡して正しい方向へ進んでいる事を確かめます。プレコートは担当官達から、シャトルの乗組員に自爆前に脱出するかシャトルを一般地区から引き離す事についてのサゼスチョンを受けたいと思っていたと語りました。

 皆さんが次のシャトルのカウントダウンの時にフライト・ディレクターが打ち上げチームのメンバーから「GO」か「NOGO」の最終コールを受け取る際、射場安全官が話すのを聞く事ができます。ディスカバリーの飛行士の一人が語ったように、ロケットがコースを外れた時に自分を殺そうと構えているチームを知っている様な仕事は世界中に他にないでしょう。

 シャトルの打ち上げについてはこれからも語っていくでしょうが、その普通にはない多くの事実の一つです。


トーマスがミールから帰って来る。

 ところで、ディスカバリー号は6月3日午前7時10分に打ち上げ台39Aからアンディー・トーマスをミールから連れて帰る為に打ち上げられる予定です。

 今週CNNでアンディーと話した所によると、彼は地球への帰還を何日何時間と数えていると語っていました。週末には、新鮮な食料、衣類、燃料などの供給品がミールへ届きました。土曜日にプログレス輸送船がミールとドッキングしたのです。アンディーはミールを去る前に、地球表面の変化を収めた自分の数種類のカメラについて語りました。彼は今週、ホンジュラスやユカタン半島の大火災を見ました。またコスタリカのアレナイ火山の噴火のスチル写真を撮る事ができました。

 長期の宇宙旅行での興味ある危険の一つに腎臓結石があります。地上の科学者はアメリカやロシアの飛行士達が何故われわれよりも結石にかかりやすいのかを知っています。アンディーは正にこの事について何をすべきかを解明する為の実験を行っているのです。宇宙飛行は体内の水分の量を減らしてしまいます。この脱水症状は尿の中の科学物資を濃縮します。濃縮されたカルシュウムや他の物資が腎臓結石を引き起こすのです。アンディーはこの試験の為に地球にもって帰る大量の尿を採取しています。それは将来宇宙や地球に住む人々から腎臓結石を取り除くのに役立つでしょう。

 トーマスが帰還すると、アメリカの飛行士としておよそ1,000日のミール搭乗の長期間飛行を完了します。この数字には飛行士達のミール搭乗の26ヶ月の延長も含まれています。シャトルがミールへ飛行するのは今回が最後になるので、クルーは何とかしてできるだけ多くのアメリカの装備を持ち帰るつもりです。

 私はディスカバリーのクルーに、もしさらに多くの装備を持ち帰る必要がれば、この夏にミールへ2度目の飛行を喜んで行うかと問いました。彼らはYesと答えました。この宇宙飛行の仕事には非常に魅力的な何かがあるに違いありません。

 
 

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http://cnn.com/TECH/space/9805/20/holliman/index.html


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