NASAの強力なX線望遠鏡の2つのエンジンはそれを宇宙の予定よりわずかに低い位置へ置いてしまいました。そこでエンジニアはその代わりにこれから数日間バックアップ・スラスターを使ってこの望遠鏡を稼動軌道まで押し上げます。
土曜日のエンジン噴射は、チャンドラX線望遠鏡を軌道の遠地点高度まで押し上げましたが、目標高度140,000km(およそ87,000マイル)に数百キロメートル足りませんでした。 「全プロセスは非常に良く制御されましたが、100パーセント予定通り正確には行きませんでした。」と、チャンドラ科学センターのディレクターのハービーTanenbaumが述べました。 「我々は、140,000プラスマイナス5,000キロメートルの範囲を設定していましたが、139,000キロメートルと少しで終わってしまいました。」と、彼は述べました。 エンジニアは、エンジンの一つが予想よりも高温で作動した事に気づきました。それで彼らはチャンドラの軌道の近地点高度を合わせるために最後の2回の推進に使う1対のバックアップエンジンを使う予定です。 5分間の燃焼が水曜日に、続いて8分間の燃焼が土曜日の朝に設定されています。 TRWによって製造されたこのエンジンは、ヒドラジンと窒素テトラオキシドを混合して2,500度Cに達する温度で燃焼しますが、エンジニア達は後者の酸化剤の混合量が多すぎたのではないかと疑っています。 それは、エンジン燃焼の推進力がわずかに弱まった理由に当てはまると、Tanenbaumは言っています。 「このアイデアは、クリーナー・システムつまりこれまで使っていないシステムに切り替えてヒドラジンと酸化剤の割合を一対一に戻すことです。」と、彼は言っています。 最後2回の燃焼は、チャンドラの軌道の近地点高を6,000km(3,700マイル)から9,500km(5,900マイル)まで持ち上げなければなりません。 軌道の遠地点高度と近地点高度を持ち上げることは、チャンドラのデータ収集の機会を高めます。 当初の計画では、月曜日にチャンドラの軌道の近地点高度を押し上げる予定でしたが、エンジン効率は、ミッション・オペレーター達をバックアップ・エンジンへ切り替えて燃料や保護ソフトウェアを変更する為の時間を作るために、エンジン点火を水曜日へ延期させました。 現在ミッション・チームは、新しいエンジンへの切換を心配していますと、Tanenbaumが述べました。 「それには多くの作業や少しばかりの不確実性がありますが、水曜日にそれを初めて点火した後、我々は確かによりうまくいったと感じるでしょう。」と、彼は述べました。 エンジニア達は、チャンドラの全ての観測機器のカバーが外されて、およそ2週後に初めての試験データを無事受け取るまで心配は続くでしょう。 「ドアが開いて、やってくるX線を検知機で捕らえて、X線に焦点を合わせ、焦点の合った画像を見るまでは、我々は実際とても祝う気持ちにはなれません。」と、Tanenbaumは述べました。 |