これらの木星の夜側を示すモザイク型画像には、およそ45分おきの木星のオーロラが写っており、そのオーロラの環が探査機下方にある木星と一緒に回転している事を示しています。この画像はNASAのガリレオ探査機に搭載されている半導体撮像システム(SSI)によって、探査機が木星の軌道を回る11周目の間に撮影されました。 このオーロラの環は、木星の自転軸からずれており、最も低経度では西経165度近くにまで達しています。このオーロラは幅が数百キロメートルあり、木星の縁を横切る所は、木星から高度およそ250キロメートルである事がわかります。 これらのモザイク型画像には、時系列で最近の画像から順に番号をふってあります。 木星のオーロラの発光も、地球上と同じ様に帯電した粒子が上層大気中に存在する原子とぶつかる事によって引き起こされます。これらの粒子は木星の磁力線に沿って流れて来ますが、何処から来るのかははっきりと解っていません。オーロラが最も濃い部分の磁力線は、木星からかなり遠方(木星の半径の数倍)で木星の赤道と交わっています。画像全体を覆う淡い背景色はカメラ内部の散乱光によるものです。この迷光はこの画像外にある木星の日照部から照射されたものです。多スペクトル観測ではオーロラは赤く表現され、木星大気中の水素原子の光り方と一致します。ガリレオ探査機特有の撮影画報は、小さい範囲である木星の夜側も視野に入れ、地球からは見えない細部までも描写させました。これらの細部の時間による形の変化は、ガリレオの連続画像で見ることができます。 最初のモザイク型画像では、オーロラの環は木星の縁に直接かかって、とがった方を下にしたように見えます。5番目の画像では、オーロラは多くの別々の光の帯となって発光しています。この画像にはイオの磁束管の跡も写っています。木星の月「イオ」の火山の噴火は、粒子を吹き出してイオン化させ、目に見えないイオと木星の間の管であるイオの磁束管を通して、木星の磁場へと粒子を押し出しているのです。右下の明るい円形の部分はこれらのエネルギーを帯びた粒子が木星と衝突している箇所なのかもしれません。何枚かの画像に写っている恒星から、カメラの方向を正確に決定する事ができます。この事は木星のオーロラの3次元的な位置を初めて確定させました。驚いた事に、計測された高度は磁気圏モデルによって予言された高度(気圧1バール以上)のおよそ半分だったのです。 画像は下のサイトでご覧下さい。 http://www.flatoday.com/space/today/061598a.htm |