直径3,700光年の、宇宙に浮かぶ巨大な車のホイール・キャップの形をした円盤状の塵が、楕円銀河 NGC7052 の中心に位置し、3億個の太陽の質量を持つブラックホールをとり囲んでいます。
この円盤はひょっとすると古代に衝突した銀河の残骸で数十億年のうちにこのブラックホールに飲み込まれてしまうかもしれません。 この円盤の手前端は、向こう側よりも多くの星を食(隠)しているので、それだけ暗く見えます。また塵は赤い光よりも青い光の方を多く吸収するので、この円盤は他の銀河よりも赤っぽく見えています。(これと同じ現象でスモッグの多い日の日没には太陽が赤く見えるのです。) このNASAのハッブル宇宙望遠鏡の画像は、広視野惑星カメラ2で可視光線で撮られました。50光年幅の小ささまで詳細部を見る事ができます。 ハッブルの微天体分光カメラ(1997年にSTIS分光カメラと取り替えられました)がこの円盤のガスから出る水素や窒素の放射線を観測するのに使われました。 ハッブルの観測では、この円盤の中心から186光年の部分は秒速 341,000 マイルで回転しているようです。 この回転速度が、ブラックホールによってガスの中で作用する重力の大きさの直接測定を可能にしました。太陽の3億倍の質量なのに、このブラックホールはNGC7052 の全質量のわずか0.05%しかありません。その大きさにもかかわらず、この円盤はブラックホールよりも100倍も小さいのです。といってもそれでも、太陽のような星を300万個も作れる物資を含んでいます。 この円盤の中心の輝く部分には、ブラックホールの強力な重力で引きつけられた恒星が発する光が集中しています。これらの星々の集結度は、その星の密度と中央のブラックホールの質量とから計算された理論モデルと合致します。 NGC7052 は強力な電波放射源で、2つのジェットが核から反対方向に放射されています。(このジェットは強力な磁場内で活発に動き回る電子流で、電波となってエネルギーを解放しています) NGC7052 のジェットは円盤と垂直ではありませんが、その事はブラックホールと NGC7052 内の塵の円盤は、共通の起源を持っていないという事を意味しているのかもしれません。そして一つの可能性として、この塵の円盤はブラックホールがすでに形成された後に、隣の小銀河との衝突によってできた塵が補足されて形成されたという事が考えられます。 NGC7052 は地球から1億9千100万光年離れた「こぎつね座」の中に位置しています。 画像は下のサイトでご覧下さい。 http://oposite.stsci.edu/pubinfo/pr/1998/22/ |