マーズ・ポーラー・ランダーが地球と通信が途絶えたのは、エンジンが早すぎて停止し、130フィートの薄い火星の大気に突っ込み、火星の南極近くの凍った大地に衝突した為だとNASAの調査委員会は火曜日に発表された報告で結論づけています。
1億6500万ドルの探査機の事故は、個別委員会に、NASAの火星計画はかなり問題があり、これ以上の損失を防ぐには再組織化が必要だとする報告を出させるに至りました。 「あまりにも多くの事が省かれていました。」とNASAの火星探査計画の成功と失敗を評価する18人の航空宇宙専門家から構成された調査委員会は結論づけています。 調査委員会を率いるロッキード社の重役を引退したトーマス・ヤングは、マーズ・ポーラー・ランダーとその姉妹機のマーズ・クライメート・オービターは、ある意味で大きなリスクを許しすぎていたと以下のようにまとめています。 マーズ・ランダーとオービター計画は、30%ほども資金不足でした。 この計画は、有能ではあるが経験の浅いマネージャーによって管理されていました。 NASA本局、ジェット推進研究所、デンバーのロッキード宇宙航空社の上級管理職達は、適切な監督行使ができていませんでした。 ポーラー・ランダーが、重要な突入・降下・着陸時のテレメトリー機能が省かれて設計されたことは、大きな過ちでした。 ランダーから分離して、火星の地面に突き刺さるように設計されていた2機の小型プルーブは、設計がうまくなく、試験も十分でなく、打ち上げられるべきではありませんでした。 政府と産業界のチームは、ミッション成功のために最善を尽くし、ときには週に60時間〜80時間も働いていました。 「要員数が十分でなかったのです。十分な資金、十分な時間もありませんでした。」とヤングは言っています。 ヤングによると、ロッキード宇宙航空社には、予備要員や彼らの仕事を評価してくれる同僚も与えられずに一人で作業を行った社員もいたそうです。 今回の一連の事故に関する「ヤング報告」は、アメリカ宇宙局に長い影を投げるものとなりました。 NASA当局は、火星探査計画におけるこれらの不備を認め、改善を誓っています。 「NASAは今回の失敗を教訓に、新たな火星探査計画に前進していくでしょう。」とNASAの宇宙科学次官エド・ワイラーは言っています。 NASAは、既に開発中の2001マーズ・ランダーをキャンセルして、そのハードウェアーとソフトウェアーは、将来の火星探査計画に利用するとワイラーは言っています。 NASAは、新たな火星探査計画を作る委員会を設け、NASA本局に全ての火星探査計画活動を調整する新火星計画室を設置します。 NASAの火星探査計画の再検討は、間違いなく火星の土を地球に持ちかえる計画なども含まれた2005年と2008年に予定されているミッションを遅らせることになります。 NASAは火星探査を続け、かつて生命がそこに存在したのか、もしかするとまだ存在しているのかどうかという疑問の追求を続けていくと、ワイラーは言っています。 「水を見つけることが大きな課題です。これは5〜6年ではなく10年スパンの計画になるでしょう。」とワイラーは言っています。 NASAのダン・ゴールディン長官は、委員会の調査結果と勧告を歓迎しています。 「彼らは、成功と失敗したミッション両方を厳正に調査して、深宇宙探査の信じられないほど複雑な作業の隅々にまで光を投げかけてくれました。」とゴールディンは言っています。 ヤングのチームもJPLプロジェクト・マネージャーを引退したジョン・カッシーニが率いる事故調査委員会も、マーズ・ポーラー・ランダーと2機のディープ・スペース2に何が起こったのか決定的に結論を下すことはできませんでした。 |