NASAは予定されていた冥王星ミッションの作業を無期限に中止し、エンジニア達はもっと低価格の探査機の設計を試みることになりました。
プルート・クィッパー・エキスプレス計画の中止は外惑星計画の膨れ上がるコストの結果だとアメリカ航空宇宙局のエド・ワイラーは言っています。 「この計画が承認された1996年当時は、工学上で甘い見通しがあり、たくさんの技術がもっと簡単に開発されていくだろうと予測されていました。」と彼は言っています。 しかし、物事は予測通りには進みませんでした。 現在宇宙局は、木星の4番目に大きい月エウロペへ2006年1月に軌道探査機を打ち上げることに焦点を絞っています。 科学者達は、エウロペは生命にとって重要な成分を含む海を地下に隠していると信じています。 「NASAの宇宙科学のテーマの1つが生命探しである為に、エウロペ軌道探査機は高い優先度のミッションとなっています。」とワイラーはアメリカ航空宇宙工学協会の会議で述べています。 冥王星とエウロペ・ミッションの費用は、合わせて8億ドルと見積もられていました。 しかし、打ち上げ用ロケットと原子力発電装置がミッションの費用を膨らませてその額は13億ドルにも上っています。 「よその政府のように国家予算に赤字を出すことは許されません。私は予算のバランスを考えなくてはならないのです。私に選ばれた道は1つです。私は冥王星ミッションを無期限に延期させエウロペ軌道探査機に目を向けることに決めました。」とワイラーが述べています。 先週、ワイラーはジェット推進研究所で他の外惑星探査機と一緒に行われているプルート・クィッパー・エキスプレス計画に作業中止命令を出しました。 しかし、2007年か2008年に打ち上げ予定のエウロペ軌道探査機や太陽探査機の作業は継続されると、太陽系探査研究室のマネージャーのダグ・ステットソンは言っています。 冥王星探査機は、2012年までにこの惑星を探査する予定でした。 この探査機は、冥王星とその月カロンの他にも、冥王星の軌道の外側にあり小惑星大の岩からなるエッジワース・クィッパー・ディスクも調査することになっていました。 ワイラーは、2020年までに冥王星を探査することができるもっと低コストの設計開発を行うようにエンジニア達に指示しています。 「エンジニア達は1年ほどこの探査機の開発を行い、すでに基本的な設計を考案し、いくらかの契約を結んでいます。それらの作業のいくつかは、おそらく実際に使われることになるでしょう。」とステットソンは言っています。 現在の設計の大きな変更は推進系になりそうです。未来のイオンエンジンは現在ほとんどの宇宙船で使われている高コストの化学燃料エンジンに取って代わるでしょうと彼は言っています。 1930年に発見されたばかりの冥王星は、現在太陽から最も遠い位置に移動しており、その探査は近未来のことを考えれば現在が最高の機会ではないのかもしれませんとアメリカ天文学会惑星科学部のエリス・マイナーは言っています。 「どんなに薄い大気でもある時点で地表上で凍るはずです。我々ができる限り早くそこを調査したい理由の1つは、大気が解ける前に調査が可能になりたいからなのです。」と彼は言っています。 一旦大気が地表上で凍れば、2230年代までは解けそうにありません。 |