98年しし流星群レポート

 

 皆さん寒いなか流星群の観測お疲れさまでした。

 

私の観測レポート

 私は九州では最も晴れる見込みのあった宮崎県高崎町へ観測に出かけました。高崎町は17日22時頃からは晴れわたり星空が広がりました。18日0時30分頃、滞空時間3〜4秒の長い光跡をひく明るい流星がしし座付近から北西へ流れるのを3個観測しました。1時までの1時間で暗い流星も含めると15個確認しました。この時点では当然流星嵐を予感したのですが、その後は暗い流星が1時間に4〜5個流れるのにとどまり、午前4時には厚い雲が空全体を覆って観測不可能になってしまいました。それでも未練がましく5時過ぎまで観測を続け、天頂付近の雲が切れた5時20分しし座から北側に短く流れた後バーストした非常に明るい流星を1個だけ流星ショー終了の合図のように見ました。

 

早かったのか流星群のピーク

 19日の新聞やテレビで、流星群のピークは実は予想時刻よりも半日早く訪れ、ヨーロッパや大西洋やアメリカで大出現があったと報じています。カナリア諸島では1時間に2千個流れ流星雨状態だったそうです。それに比べて最も多く流れると期待された中国では1時間に10〜30個程度、日本でも数十個だったと現在は報告されています。NASAが行った日本上空での航空機観測でも1千個に達しなかったと報告されています。まだ詳細な観測結果が解析されていませんので何の結論も出せませんが、出現予想時間がずれたのだけは確かです。

 

やっぱり難しいのか流星の出現予想

 世界中の流星専門家や著名な天文学者達がアジアに集まりました。その中にはヨーロッパやアメリカからわざわざ訪れた学者も多かったでしょう。カナリア諸島から来た人がいたとしたらシャレにならないでしょうね。あのNASAでさえアジアで観測ミッションを行いました。本拠地KSCそばの大西洋上空で大出現があった訳ですから残念がっている事でしょう。それだけ流星群の出現予想が難しいことを物語っています。

 

観測に役立つインターネット

 今回観測地に携帯(PHSは山奥では不可)を使うモバイルPCを持ち込み大変役立ちました。気象情報やとりわけ今回は日本全国の現状をリアルタイムに近い状態で掲示板などで知る事ができ、何処かでは大出現が起こっていないかとか予想出現時刻がずれていたのではというニュースを現場で入手する事ができました。

 

あのジンクスは破られず

 マスコミが騒ぎ過ぎると流星群は現れないというジンクスは、1972年のあの空振りで有名なジャコビニ流星群に続いて破られませんでした。

 

 

何故早まる流星出現時刻

 10月9日のジャコビニ流星群は、前回も今回も出現時刻が予想よりも大幅に早まりました。今回のしし座流星群も予想より半日も早まったようです。これは流星体(塵)はいつも母彗星の軌道よりも地球に近い方にずれている事を意味しています。観測地からの帰りの車の中でこの事について話がはずんだのですが、仲間の一人が言うには「ある程度地球が彗星の軌道に近づいたら、地球の引力に引かれて塵の方も地球の方に突進してくんるじゃないの。最後まで軌道上にじっとしているとは思えない。」うーん、なるほど。

 

1999年は日本で大出現?

 しし座流星雨は32年と33年周期でやって来るので来年も起こる事を知っていますか。33年後に当たる1999年のしし座流星群の最適観測地域はヨーロッパや北アフリカだと予想されていたので日本ではあまり話題になっていませんでしたが、こうなると話は違います。来年も今年と同じ割合でずれてくれれば、今度は逆に日本で大出現が起こるのではという期待が高まるのです。来年に期待しましょう。

1998年11月18日 宮崎県高崎町より

 

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