運良く発見された遠方の超新星は、謎の「暗黒エネルギー」の存在によって宇宙が加速しながら膨張していることを確認しました。
これまでで最も遠い地球から約110億光年離れた場所で見つかった超新星は、宇宙が最初のうちは減しながら、そしてつい最近、よく分かっていない謎の力が重力に打ち勝った為に加速を始めながら膨張していることを示しています。 ハッブルを使って研究している天文学者達は、これまでで最も遠方にある1997ffと呼ばれる超新星から出る光を見つけました。 天文学者達は、1997年にハッブル・ディープ・フィールドと呼ばれる天の領域の北側を2度目に調べた時にこの超新星を発見しました。 下の写真には、100億年以上の時空を越えてハッブルが見つけた無数の銀河も写っています。白い枠内に超新星はあります。 写真の左下のフレームはハッブル・ディープ・フィールド領域のを拡大したものです。白い矢印は、爆発する星のホーム銀河(淡い楕円形状)を指し示しています。 右下の写真は超新星自体を示しており、中心の白い点によって識別されます。 「この重大発見は、我々の宇宙に対する理解の大きな進展です。」とシカゴ大学天体物理学者のマイケル・ターナーは月曜日午後のNASAの記者会見で述べました。 このような超新星は、常に等しい絶対等級の明るさで爆発する為に、天文学者達はその距離と実視輝度を計ることができます。つまり、超新星が暗くなればそれだけ遠方にあることになります。 超新星の赤方偏移の測定値と組み合わせれば、天文学者達は宇宙の膨張速度とその時間的な変化を知ることができるかもしれません。 驚いたことに、天文学者達は数年前に宇宙の膨張速度は減速していないと仮説を立てましたが、実際に未知の力の影響で加速していました。 「それは、あまりに驚異的な説だったので人々は懐疑的になり、別の仮説が立てられたりしました。」と現在の調査を指揮している宇宙望遠鏡研究所(STScI)の天文学者アダム・ライズ氏は説明しています。 それらの別の仮説は、例えばこの超新星と地球の間に塵の雲が存在するとか、Type Ia超新星は仮定されている「標準光」ではなく変光星であるとかです。 これらの仮説をテストするには、更に遠方の超新星を観測する必要がありました。 しかし、幸運なことにライズとその仲間はそのような超新星を発見したのです。 1997年にSTScIの天文学者のロンGillilandはハッブル宇宙望遠鏡を使って2年前に同じ望遠鏡で観測したハッブル・ディープ・フィールドと呼ばれる領域を再度観測したのです。 新しい観測結果を前のハッブル・ディープ・フィールドと比較することで、彼は1995年に存在しなかった目に見える光の存在を発見しました。その遠方の超新星は1997ff.と称されました。 しかし、単一のデータではこの超新星の距離や赤方偏移を決定するには十分ではありませんでした。 しかし、ハッブルの赤外線カメラによるGillilandの観測のわずか数週間後にライズは昨年に同じ領域を観測しました。 それらの画像が、ライズとその仲間達がこの超新星の輝度と赤方偏移の測定を可能にして、それがハッブルの画像に写っている100億光年以上離れた巨大楕円星雲と関係していることを確認させました。 この遠方の超新星の赤方偏移は、塵の雲や変光星のモデルにはマッチしなかったのです。 それは、加速しながら膨張する宇宙のモデルにぴったりとマッチして、前の仮説を立証しました。 「我々は、いま宇宙は加速していると自信をもって言えます。」とライズは言っています。 「この超新星は、宇宙が加速している論を避けようとするこれまでの2つの説明を打ち負かしたのです。」とターナーが付け加えました。 |