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1月29日付けスペースフライトナウが掲載した

チャレンジャー号事故の詳細記録。

管制室の録音記録とNASA-TV音声の合成(RealAudio)
管制室の録音記録とNASA-TV音声の合成(QuickTime)
NASA-TVのチャレンジャー号打ち上げ中継(QuickTime)
打ち上げの瞬間右側SRBから噴出す異常な黒煙(QuickTime)
右側SRBの接合部から噴出す炎(QuickTime)
SRBから漏れ出す炎がタンクに引火して爆発するまでの詳細(QuickTime)
爆発後ちぎれて落下するクルーキャビン(QuickTime)
爆発の瞬間のミッション管制室(QuickTime)
スペースフライトナウ本文

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翻訳文

以下のタイムラインは、チャレンジャー事故のあと事故当時UPI通信社のケープカナヴェラル支局長だったウィリアム・ハーウッドと電波宇宙通信主任のロブ・ナビアスによって整理されたものです。

このタイムラインはシャトルから送られたテレメトリーデータとジョンソン宇宙センターのフライトディレクターの連絡回線と一般に放送されたNASAセレクトTVの音声、また事故後にNASAが発表したキャビン内での乗組員の通話措置の会話記録を合成して組み立てられています。

あらゆる作業は記録の時間精度を高めるように行なわれましたが、NASAセレクトTVの音声とミッション管制室の音声回線はストップウォッチによる解析を基準にしており、いくぶん主観性があります。

T=0.000

固体ロケットに点火指令が送られました。

宇宙飛行士ジュディ・レスニック(通話装置): "オーライ!"

T+0.008

まずチャレンジャーを発射台に固定する為に各ブースターの根元に4個づつある長さ25インチ幅7インチの合計8個のボルトが爆破されました。

T+0.250

最初の縦方向の動きが観測されました。

T+0.678

後で現像されたフィルムには、最初の異常な兆候である黒煙がチャレンジャーの右側の固体ロケット・ブースターの問題のOリング接合部の少し上に写っていました。

T+0.836

黒煙は、シャトルの打ち上げ振動特性におよそ合った毎秒3回のジェットバックファイヤの際に最も黒っぽく見えます;


写真: カメラE-60に写った黒煙

T+0.890

地上打ち上げシーケンス・コンンピューターは地上の施設や装置の安全化を開始しました。

T+1.000

シャトルのパイロット・マイケル・スミス(通話装置):「さあ、いくぞ!」

T+2.733

右側ブースター後部を外部燃料タンクに保持する船尾取り付け部上でのはっきりした煙が最後に見えました。船尾取り付け部は、燃料セグメント接合個所から2フィート弱の位置にあります。

T+3.375

外部燃料タンクの底で渦巻く煙が最後に目にみる兆候として現れました。

NASA-SELECTテレビの打ち上げ解説者ヒュー・ハリス:「... シャトル・ミッション25回目のリフトオフです。タワーを離れました。」

T+4.339

3機の液体燃料エンジンは、予定通り90%から104%にスロットルアップされました。

T+5.000

ヒューストン・ミッション管制室のデータ処理システム(DPS) エンジニア A.F. アルゲート:「リフトオフを確認」

フライトディレクター(FD)のジェイ・グリーン(ヒューストン):「リフトオフ...」

NASAのメリット島の受信局で4つデータ・フレームが欠損しました。 次の1分6秒で更に4つの「データ・ビット-シンク脱落」が起こりました。 これは通常起こることで、ロケットの炎や地上の物体が電波信号の電界を弱めることで起こります。

T+5.615

チャレンジャー搭載の予備のフライト・システム・コンピューターが機体がロールする際も通信を維持できるようにSバンドPM(位相変調)電波とSバンドFM電波のアンテナを切り替えるように指令を出しました。

T+5.674

右側のブースターの内部圧が通常よりも高い11.8ポンド平方インチを記録していました。

T+7.724

シャトルは発射台タワーを通過するとロールプログラムを開始し、乗組員が外部タンクの下になる「ヘッドダウン」の姿勢になります。

T+8.000

シャトルのコマンダー・ディック・スコビーの地上への無線連絡: 「ヒューストンこちらはチャレンジャー。ロールプログラム開始。」

T+10.000

ミッション管制室の宇宙飛行士ディック・コビー:「チャレンジャー、ロール了解。」

ミッション管制室の宇宙船操縦技士(FIDO)ブライアン・ペリー: 「ロール良好。」

グリーン(FD):「ロール良好了解。」

T+11.000

スミス・パイロット(通話装置):「母のもとへ!」

T+12.000

Ponce De Leon 追跡局へデータを送るように更にアンテナの切り替え指令が出されました。

T+14.000

レスニックの通話装置:"LVLH" レスニックはスコビーとスミスがコックピットのADI設定を適切に行なっていたことを覚えています。"LVLH" とは"local vertical, local horizontal"の頭文字を取った略号です。

T+15.000

レスニックの通話装置:「(補足的に)ホット!」

スコビー船長: 「OK.」

T+16.000

NASAセレクトテレビで実況解説するヒューストン・ミッション管制室のスポークスマンのスティーヴ・ネスビット:「良好なロールが確認されました。チャレンジャー号は現在予定コースに乗りました。」

T+19.000

スミス・パイロットの通話装置: 「今日は風が強いようですね。」

スコビー船長の通話装置: 「イエーイ!」

T+19.859

チャレンジャー号の3機のメインエンジンは、予定通りに推力を94%に絞り始める指令を受けました。

T+21.124

ロールプログラムは完了し、チャレンジャー号は適切なコースに乗りました。

T+21.604

右側のSRBロケットの推力は、シャトルが最大動圧(空気密度の濃い領域を飛行する時のシャトルにかかる空力)に達する前に絞られます。これは、前方燃料セグメントの固体推薬の形状によって燃焼効率を落とすことでなされます。ロケット推力効率は、推進体の燃焼曲面積で変化できるからです。

T+22.000

スコビー船長の通話装置:「ここから窓の外を見るのはそんなに難しくないね。」

T+22.204

左側SRBの推力も予定通に絞られました。

T+27.000

ミッション管制室のブースター・システム・エンジニア(ブースター)のジェリー・ボアー:「スロットルダウン94」
チャレンジャー号の3機のメインエンジンは、シャトルが最大動圧領域に達する前に予定通りにスロットルを絞りました。

グリーン(FD):「94...」

T+28.000

スミス・パイロット(通話装置):「10,000フィートでマッハ・ポイント5」シャトルは、現在高度10,000フィートを音速の半分の速度で飛行しています。

ネスビット:「エンジンは現在スロットルを94パーセントに絞り始めています。通常は飛行の大部分はスロットル104パーセントに設定されています。まもなく64パーセントにまで絞られます。」

T+35.000

スコビー船長の通話装置: 「ポイント9」

T+35.379

チャレンジャー号の3機のメインエンジンは、予定通りに65パーセントにスロットルが絞られました。

T+36.990

テレメトリー・データは、シャトルのコンピューター・システムが突風によるコースの乱れを修正する為に正しく反応したことを示していました。

T+40.000

スミス・パイロット(通話装置): 「マッハ1」

スコビー船長の通話装置:「19,000を通過中。」

T+43.000

スコビー船長の通話装置:「OK, スロットルダウン中。」

T+45.000

ネスビット:「エンジンは65パーセントで正常に燃焼しています。」

T+45.217

シャトルの右ウィング下で閃光が観測されました。

T+48.118

2回目の閃光が右ウィング下流で観測されました。

T+48.418

3回目の説明できない閃光がシャトルの右主翼下流で見られました。
70mm追跡カメラのクローズアップ:明るいオレンジ色の火の玉が右翼下から現れて急速に固体ロケットブースターの炎と溶け込みました。この現象は、これまでの打ち上げの際にも追跡カメラのフィルムの解析で見られています。

T+48.900

ブースター・システム・エンジニア: 「65です」

ネスビット: 「... 3つの燃料電池は良好。3つの補助電源ユニットも良好。」

グリーン(FD):「65ですか?、FIDO ...」

FIDO:「ベクトルは、スロットスルを確認しています。」FIDO(宇宙船操縦技士)はリアルタイムでモニターしているコンピューターソフトウェアのことを言っています。

グリーン(FD):「...ありがとう。」

T+51.860

チャレンジャーのメイン・エンジンは、搭載フライト・コンピューターから予定通りに最高104パーセントまでスロットルを上昇させるコマンドを受信しました。

T+52.000

ネスビット:「速度2,257フィート/秒(1,539mph)、高度4.3海里、飛行距離3海里...」

T+57.000

スコビー(通話装置):「スロットリング・アップ」

スミス:「スロットルアップ」

スコビー:「了解。」

T+58.788

追跡カメラは、右側固体燃料ロケット・ブースターのシャトルを向いていない面から異常な炎が噴出す初めての兆候をとらえました。

スコビーとスミスは、ブースターの操舵メカニズムの故障を警告するソフトウェアシステム以外は、固体燃料ロケットの効率に関するデータは何も持っていませんでした。


カメラE-207がとらえたブースターから噴出して大きくなる炎



T+59.000

チャレンジャー号は、720ポンド平方フィートの最大空力がかかる領域を通過しました。

T+59.262

追跡カメラによって問題のブースター側で連続した激しい排気炎がとらえられています。これは、接合部のOリングゴムが燃えている明らかな証拠です。

T+59.753

右側ブースターから出る炎の目に見える初めての証拠が70mm追跡カメラのクローズアップでとらえられています。右側ブースタのシャトルと離れている面から炎が揺らめいてすぐに連続するようになりました。

T+60.000

スミス(通話装置):「母のもとへ行くの感じよう!」

発声者不明(通話装置):「うわーー うわーー!」

T+60.004

送られてきた無線データは右側SRB内部の圧力が下がり始めたのを示しています。これは不良接合部の穴が大きくなっているからです。


テレメトリーデータ:右側SRBチャンバー圧力低下を示すチャート

T+60.238

破断部から噴出す炎が曲がって外部燃料タンクに当たっている初めての証拠が見られました。

T+60.248

外部燃料タンクの下部に右側ロケットの船尾を連結させる支柱に異常な炎が当たっている初めての証拠が見られました。

T+60.988

偏向する炎は連続しています。70mmの追跡カメラ・クローズアップでとらえられた右側固体ロケットブースターから噴出する厚くはっきりとわかる炎。

T+61.724

シャトルは、強風にあおられて少しロールしています。

T+62.000

スミス(通話装置):「3万5000をポイント5で通過。」

T+62.084

チャレンジャー号の飛行制御システムが突風によるコース乱れを補正した為に、左側ブースタの操舵メカニズムが、コンピューター・コマンドで突然動きました。

後でわかったことですが、チャレンジャー号の打ち上げの時の突風は、制限内ではありましたが、過去24回のシャトルの打ち上げの中でとてつもなく強いものでした。

T+62.484

チャレンジャー号のコンピューターは、シャットルの「エレボン」つまりウィングフラップに急速に動くように指令を出しました。

T+63.924

船外エレボンの圧力変化が記録されており、動いたことを示しています。

T+63.964

シャトルのコンピューターは、チャレンジャー号を適切な迎え角に保つために予定のピッチ変更指令を出しました。

T+64.660

吹き出す炎の形が突然変わり、シャットルの液体水素タンクから漏れ出した燃料に引火したことを示しています。

T+64.705

外部燃料タンクの一方が明るく輝くのが写真に撮影されています。

T+64.937

フライト・コンピューターがシャトルをコースに維持する為に、ブースターの燃焼によるアンバランスな推力を補正しようとしてメインエンジンのノズルが比較的大きく動いています。
シャトルは、一瞬ピッチングを止めました
コンピューターがシャトルをコースに維持しようと作動したことをこの飛行段階での正常な揺れと加速度の中で乗組員が認知したことは、懐疑的です。

T+65.000

スコビー(通話装置):「私の読みでは486。」

スミス:「はい、私のも同じです。」

T+65.164

チャレンジャー号が過渡的な動きをした初めての兆候が記録されました。

T+65.524

データは、船外のウィングエレボンが突然動いたことを示しています。

T+66.000

ブースター・システム・エンジニア:「スロットルアップ104の3。」

グリーン(FD):「カプコン(コヴィー)、スロットル・アップへ。」

T+66.174

追跡カメラは右側固体ロケットモーターの排気炎の中に突然輝点が現れたのを示しています。この明るい輝点はシャトルの腹に面している側でも観測されています。

T+66.764

シャトルの外部液体水素タンクの圧力が下がり始め、大きな漏れが始まったことを示しています。

スミスは液体水素タンクの圧力の読みをリアルタイムで監視していましたが、故障は急速に起こったので彼がこの異常な状態に気づいたことは懐疑的です。

たとえチャレンジャーのパイロットがSRBの問題を発見したとしても彼らに成すすべはないのですから、いづれにしても同じことでした。

シャトルは軌道に到着する前に外部燃料タンクと分離することはできますが、それができるのは、エンジンが燃焼していなくて空力的に優しい環境においてのみです。

また、たとえタンクから分離してもSRBが燃焼しているので、シャトルはタンクの底かSRBの排気炎の中に突っ込んでしまったでしょう。

T+67.650

ブースターの底と頂部の異常な炎が1つに合わさりました。 これは漏れがひどくなる接合部に炎が巻きついたことを意味しています。

T+67.684

テレメトリーデータは、3つのメイン・エンジンへ液体酸素燃料を送る17インチ幅のパイプ内圧力が下がったことを示しています。

T+68.000

ネスビット:「エンジンは、スロットリング・アップして、現在104パーセントです。」

コヴィー:「チャレンジャー、スロットル・アップ」

T+70.000

スコビー の地上への無線連絡:「了解、スロットル・アップ」

T+72.204

データは、両方の固体ロケットブースター底のノズルが最大の動きをしたことを示しています。

T+72.284

2つの固体ロケット・ブースタはお互いの相対位置を変えようとし、右側ブースターは明らかに外部燃料タンクにその船尾を固定した支柱から離れようとしています。

オレンジ色の炎がチャレンジャーのキャビンに近いメイン燃料タンクの反対側のより高いところから現れました。

T+72.478

1つのブースターから非常に高速なアクチュエータ・コマンドが記録され、これはノズルのとてつもない動きを示しています。

T+72.497

3つの液体燃料メイン・エンジンのノズルは、秒速5度の高速で動き始めました。

T+72.525

データは、突然の右方向への横加速度がシャトルを重力の0.227倍で押したことを示しています。これは乗組員も気づいたかもしれません。

T+72.564

液体水素の圧力減少が始まり、固体ロケット・ブースタのノズルは高速運動を続けています。

T+72.624

チャレンジャーは、最後の航法データを送ってきました。

T+72.964

メインエンジンの液体酸素燃料の圧力は、ターボポンプ入口で激しく低下し始めました。

T+73.000 (approximate)

スミス(通話装置):「あれ、ああ...」
これが、乗員室の通話装置録音機で記録された最後の言葉です。

スミスは、メインエンジン効率つまり外部燃料タンクの圧力低下に反応したのかもしれません。

T+73.010

最後のデータは頭上の追跡データ中継衛星で捕らえられ、この区域で構造物の崩壊が始まったことを示しています。

T+73.044

メイン・エンジンへの液体水素圧力の急激な低下が始まりました。

T+73.045

もう一つの0.254Gの横加速度(今度は左方向)が起こり、おそらく乗組員も感じたと思われます。

T+73.124

右側ロケットブースターの内圧は19プサイ(ポンド/立法インチ)まで低下し、推力は100,000ポンド弱になっていることを示しています。

追跡カメラは、外部燃料タンク底の左側の周囲に白いパターンができる兆候を捉えていました。これは、SRB-タンク接合リング近くが大きく破壊したことを示しています。

これは、明らかに液体水素タンクドームの落下によるものです。 その結果、前方への加速度が外部燃料タンクの先頭部にある液体酸素の区画へタンクを押し上げました。

T+73.137

水素と酸素区画を分離しているセクション近くから水蒸気が発生しました。これは、外部タンクの船尾ドームから、液体水素が漏れた為です。

T+73.143

3つ全てのメインエンジンは、酸素と水素の吸入吸圧の損失に反応しました。

T+73.162

地上のカメラは、外部タンクの横側に沿って突然ロケット燃料の雲が現れるのを捉えています。

これは、右側ブースターの先端が内部タンクへ突っ込んで液体酸素を混ぜ合わせながら破壊したことを意味しています。

T+73.191

突然の閃光が、シャットルと外部タンクの間で撮影されています。 火の玉が明るい黄色になり、赤い巨大な炎がチャレンジャー号をのみ込みました。

一つのクラック・ノイズが、地上での無線で聞こえました。 事故後エンジニアは、これは地上の受信機がシャトルからの信号周波数をサーチする音だったと言っています。

T+73.211

メイン・エンジンからのテレメトリー・データは、次の10分の1秒間干渉を示していました。

T+73.213

爆発は、固体ロケットブースターが接合されているタンクの前部近くで起こりました。

T+73.282

爆発は激しく、外部燃料タンクを焼きつくしました。
テレビ追跡カメラ:明るい白い球が、シャトルの先端下から噴出しました。

T+73.327

この内部タンク内の白い閃光は非常に強烈なものでした。

T+73.377

操縦用ロケット燃料の船内タンク圧力が変動し始めました。

T+73.383

データは、液体燃料メイン・エンジンの強力な燃料ポンプがその制限値に近づいているのを示しました。

T+73.482

高圧燃料ターボポンプが吐出し温度に達した為に、第2メインエンジンの制御コンピューターのチャンネルAは遮断の命令を出しました。 またチャンネルBも2回の遮断を記録しています。

T+73.503

高圧燃料ポンプの高温と高圧の為に第3メインエンジンの制御コンピューターも運転停止命令を出しました。

T+73.523

続いて、高圧燃料ポンプの高温と高圧の為に第1メインエンジンの制御コンピューターも運転停止命令を出しました。

T+73.543

これが第1メインエンジンからの最後のテレメトリーデータでした。

T+73.618

シャトルからの最後の有効テレメトリーデータは、崩壊の瞬間に記録されたものです。それは、チャレンジャー後部の左側ロケットポッド内燃料タンクの圧力変動と補助動力装置1番のガス発生機の圧力変化でした。

T+73.631

最後のデータフレーム。

T+74.130

オービターからの無線信号は途絶えました。

T+74.587

明るい閃光が、オービターの機首近くで観測されました。
追跡テレビカメラのクローズアップ:シャトルの機首と乗員室が突然オレンジ色の炎に飲み込まれました。 これはおそらく前方の反動制御システムのロケット燃料に引火して燃え上がったためでしょう。

「この時点でチャレンジャー号は、高度46,000フィートをマッハ1.92で飛行しながら完全に爆発の炎に包まれました。」とロジャーズ委員会は報告しています。
「オービターは、厳しい空力負荷の下でいくつかの多きな部分に分解して炎から飛び出してきました。」
「フィルム上で確認できる分解した破片は、まだ燃え続けているメインエンジンテイル、オービターの片方の翼、ペイロード・ベイから引きちぎられてたくさんのケーブルやパイプを引きずっている前部胴体などがあります。」

参考フィルム(QuickTime)

ペイロード・ベイからきれいに裂けた機首部は、カーゴベイからちぎられたたくさんの電気のケーブルや連結物をぶら下げ、それらは乗員室の後ろにはためいていました。乗員室は薄い空気の中を押し上げられて更におよそ4Kmも上昇しました。

チャレンジャー号の胴体は、突然分離して頂部が開いた状態になりました。まだ音速の2倍の速度で飛行しているのですから、ペイロード・ベイ内に一瞬にして多くの空気が流れ込みその圧力で構造物は飛行中にバラバラに分解しました。

オービターの翼についていた車輪は自分で抜け落ちましたが、船尾エンジンコンパートメントは一緒に残り、エンジンは燃えながら1つの大きな塊となって大西洋に落下しました。

チャレンジャーのカーゴベイの中に収めれれていたTDRS衛星とその固形燃料ブースタロケットは吹き飛ばされました。

このこと全ては、外部燃料タンクに引火して大気中爆発を起こしたこによるものです。

それは、爆発よりも急速な燃焼でした。

いずれにせよ、2本の固体ロケットは、燃え続ける燃料の炎から飛び出し、今や遮断したシャトルのコンピューターからの制御を失ったまま飛び続けました。

T+75.000

ネスビット(爆発があったことをわかっていない):「1分15秒経過。速度毎秒2,900フィート、高度9ノーティカル・マイル、飛行距離7ノーティカル・マイル。」

T+76.437

右側固体ロケット・ブースターのノーズキャップが分離して減速用小型パラシュート・パラシュートが開きました。

追跡カメラのクローズアップ:1つのパラシュートが固体のロケットブースターの炎から現れるのが見えました。

T+79.000

TV追跡カメラからの別の画像:白い煙の帯が煙の雲から一斉に広がり、燃え続ける炎はチャレンジャーが爆破した地点をマークしていました。

1つの大きな破片が燃えながら海に落下していきました。

2本の固体のロケットブースターが、炎から飛び出して空をらせん状に飛び回りました。

ネスビットの実況が止まりました。

T+89.000

フライト管制室のグリーン(FD)から最初の言葉が出たのは爆発から13秒後のことでした。

グリーン(FD):「FIDO、飛行軌道を...」

FIDO:「FIDOです。どうぞ。」

グリーン(FD):「飛行軌道を教えて下さい。FIDO。」

FIDO:「FD、こちらはFIDOです。現在レーダーが情報を収集しています。我々はその作業中です。」

地上管制(GC)エンジニアのN.R.タルボット:「FDこちらはGCです。我々は、コンタクトを失いました。チャレンジャーから無線連絡もデータも受信できません。」

グリーン(FD):「OK、全オペレーターは自分のデータを慎重に監視して下さい。」

FIDO:「FDこちらはFIDOです。我々は情報が入るまで飛行中止モードの進行手順カードを使います。」

グリーン(FD):「手順について何か援助は要りますか?」

発信者不明:「いいえ、FD、データがありません。」

T+110.250

射場安全チームが右側固体ロケットの自爆装置に起爆命令を送りました。

T+110.252

左側ブースタは自爆しました。

追跡カメラのクローズアップ:黒煙の厚い雲が突然ロケットをのみ込み、激しく急速な爆発が起こりました。

ブースタの多数の破片が火の玉から飛び出し、船尾燃料タンク全体らしきものがゆっくりと回転しながら落下しています。

T+1 min 56 sec

ネスビット:「フライト管制官は今この状況を非常に注意深く見守っています。明らかに重大事故です。」

T+2 min 01 sec

GC:「FDこちらはGC、通信は途絶えています。」

グリーン(FD):「了解。」

T+2 min 08 sec

ネスビット:「我々は、コンタクトを失いました。」

T+2 min 20 sec

追跡TVカメラ:小さな破片が白い筋雲を引きながら青い空を落下していきます。大きな物体は薄い水蒸気の雲を引きながら海へ急降下していきます。

T+2 min 25 sec

FIDO:「FDこちらFIDOです。」

グリーン(FD):「どうぞ。」

FIDO:「RSO(射場安全官)は、ブースターロケットを爆発したと報告しています。」

(長い間があって)

グリーン(FD):「了解。FIDO、救助隊から何か報告はありますか?」

FIDO: 「待ってください。」

T+2 min 45 sec

グリーン(FD):「GC、全てのオペレーターは非常事態体制をとって下さい。」

T+2 min 50 sec

ネスビット:「我々は、宇宙船操縦技士からロケットは爆発したと報告を受けました。フライトディレクターもそれを確認しました。我々は、この時点で何ができるのか救助隊と調査を進めています。」

T+3 min 03 sec

グリーン(FD):「FIDO、FD...」

FIDO:「どうぞ。」

グリーン(FD):「LSOか救助隊から何か連絡は?」

T+3 min 09 sec

ネスビット:「非常事態体制が実施されています...」

FIDO:「我々は、彼らと作業中です。FD。」

グリーン(FD):「OK」

T+3 min 22 sec

ネスビット:「我々は、新しい情報を入手次第お伝えします。繰り返しますと、我々は宇宙船操縦技士を通じてロケットが爆発したとお伝えしています。我々は、非常事態体制をとっており現場にいる救助隊からの連絡を待っています。」

T+3 min 25 sec

追跡TVカメラ:目に見える最初の破片が海洋に落下しました。

T+3 min 53 sec

FIDO:「FD、こちらはFIDO、レーダーは破片が着水したことを示しています。」

グリーン(FD):「了解」

T+3 min 58 sec

チャレンジャーの乗員室は、およそ200mphの速度で大西洋に激しくぶつかりました。

宇宙飛行士達はまだ座席に縛られた状態で、重力の200倍の衝撃を受けました。

そして、乗員室は崩壊して深さ100のフィートの海底に沈みました。

T+4 min 15 sec

追跡テレビカメラのクローズアップは、パトリック空軍基地の東側の海上を写しています。

赤みががった茶色の煙が破片が着水した付近の海上に漂っています。これはおそらく、ヒドラジン・ロケット燃料が海面に落ちたためでしょう。

T+4 min 27 sec

グリーン(FD):「FIDO、こちらFDです ... FIDO、こちらはフライト・ディレクターです。」

FIDO:「どうぞ」

グリーン(FD):「RSOは正確な着水地点の位置情報を得ていますか?」

FIDO: 「待って下さい。」

T+5 min 03 sec

ネスビット:「こちらは、ヒューストンのミッション管制室です。現時点で我々はまだ新しい報告を受けていません。」

T+5 min 05 sec

FIDO::「FD、こちらはFIDOです。」

グリーン(FD):「どうぞ。」

FIDO:「IP(着水点)は、北に28.64度、西に80.28度です。」

グリーン(FD):「固体ロケット回収チームが使えますか?」

グリーン(FD)は、正常な打ち上げ後にチャレンジャー号の固体ロケットを大西洋上で回収することになっていたNASAのサルベージ船、リバティー・スター号とフリーダム・スター号について述べています。

FIDO:「我々は、まだ彼らと検討中です。」

グリーン:「OK」

T+5 min 24 sec

ネスビット:「宇宙船操縦技士からの報告では、ロケットは明らかに爆発して、およそ北に28.64度、西に80.28度の海上に落下したということです。」

T+5 min 36 sec

追跡TVカメラの画像:チャレンジャー号の翼についていた車輪と思われる不規則な形の黒っぽい破片が、空から大西洋に落下しました。

T+5 min 46 sec

ネスビット:「我々は、この時点で何ができるのか知るために現場にいる救助部隊の位置の確認を待っています。今後の情報に注意してください。こちらはミッション管制室です。」

T+6 min 15 sec

NASAテレビは、海上の画像からプレスサイトの画像に切り替えられました。

天空にそびえる巨大な白い煙の雲が、風にねじ曲げられて次第に消えてゆきます。小さい落下物が螺旋形の飛行機雲を作っています。

T+6 min 41 sec

グリーン(FD):「OK、皆さんは電話を置いて全てのデータを確実に保存して下さい。データの引き出し作業を開始して下さい。」

T+7 min 17 sec

グリーン(FD):「FDからFIDO ...」

FIDO:「FD、FIDOです。どうぞ。」

グリーン(FD):「LSOの通信回線とリンク接続が可能ですか?」

FIDO:「我々は彼らと通信が可能です。」

グリーン(FD):「彼らと通信ができるようにリンク接続をお願いします。」

LSO(救助作業を指揮する担当官):「はい、こちらLSOです。」

グリーン(FD):「OK、現場へ向かっている部隊はあるのですか?」

LSO:「はい。DOD(国防総省)のLSO は既に全ての部隊がスクランブルを実施して現場へ向かっていると報告を受けています。」

グリーン(FD): 「OK, 現場到着予定時刻が分かりますか?」

LSO: 「いいえ、分かりません。」

T+8 min 00 sec

グリーン(フライトディレクター)は、何が悪かったのかを示すデータを探す為に最初の点呼を実施しました。

グリーン(FD):「ブースター、こちらFD。」

ブースター:「FD、こちらはブースターです。」

グリーン(FD):「何か分かりましたか?」

ブースター:「何もわかりません。全てのタービン温度は正常でした。全く予定通りです。」

グリーン(FD):「RMU?」

メカニカルと上段システム担当官のK.A. Reiley:「全く正常でした。」

グリーン(FD):「ECOM? ECOM, こちらFD。」

電気関連部品と機械系エンジニアのジョン・レクター:「FD、こちらはECOMです。こちらも正常な読みでした。」

グリーン(FD):「DPS?」

データ処理システム・エンジニアのアンドリュー・アルゲート:「我々のデータも正常でした。」

グリーン(FD):「PROP?」

A.J. Ceccacci:「全てが良好でした。」

グリーン(FD):「NC?」

航法誘導と制御系エンジニアのジェフリー・バントル:「ロールプログラムは、見る限り完璧でした。我々がデータを失ったときロール速度が落ちている途中でした。」

グリーン(FD):「了解。」

T+8 min 03 sec

NASAセレクト・テレビは、可動型打ち上げ台39-Bの上にまだ残る煙を写しています。

T+8 min 37 sec

NASAセレクト・テレビは、ゆっくり漂いながら落下する小型のパラシュートに焦点を当てています。

T+9 min 11 sec

FIDO:「えー、あれは多分、救助隊員のパラシュートでしょう。」

後で、これは小型パラシュートにぶら下がる固体ロケットブースタのノーズキャップの1つであることが分かっています。

T+9 min 19 sec

「こちらは、ヒューストンのミッション管制室です。我々は、現場に救助部隊を向かわせています。また付近の海域にはSRBの回収を目的とする射場安全部隊もいます。」

T+9 min 36 sec

グリーン(FD):「LSO, こちらFD、LSO, こちらFD...」

ネスビット:「これらのパラシュートは、現場海域に降下する救助隊だと思われます。」

FIDO:「我々は、彼らと連絡がとれました。FD。」

ネスビット:「繰り返します。我々はデータ上では明らかに正常な上昇を続けていました..」

LSO:「FD、こちらはリンク接続で話しているLSOです。」

グリーン(FD):「了解です。なにか情報を得ていますか?」

LSO:「はい、我々はジョリー1(ヘリコプタ)を現場に向かわせています。またC-130(ヘラクレス輸送機)も向かっています。」

グリーン(FD):「了解」

T+9 min 41 sec

ネスビット:「メインエンジン・スロットルを104パーセントへアップするおよその時間までは正常な上昇を続けていました。飛行に入ってだいたい1分ぐらいで明らかな爆発がありました。宇宙船操縦技士は、レーダーはロケットが爆発して北に28.64度西に80.28度の海上に落下したことを示していると報告しています。船やC-130輸送機などを含む救助部隊が現場海域に向かっています。ミッション管制室の管制官達は自分達のデータを再チェックしています。また新しい情報が入りましたらお伝えします。こちらは、ヒューストンのミッション管制室です。」

T+11 min 05 sec

NASAセレクト・テレビは、ヒューストン・ジョンソン宇宙基地のミッション管制室内の様子を写しました。

コヴィーと宇宙飛行士のフレデリック・グレゴリーは黙ってカプコン・コンソールに呆然となって座っています。

T+11 min 39 sec

LSO:「フライトディレクター、こちらはLSOです。」

グリーン(FD):「どうぞ」

LSO:「えー、ジョリー1ヘリはまだ現場への進入許可を得ていません。まだ破片が落下中です。」

グリーン(FD):「了解。誰が指揮を取っているのですか?」

LSO:「パトリック空軍基地のS&R(捜索救助隊)です。」

グリーン(FD):「私達は彼らの通信回線に接続できますか?」

LSO:「我々は、現在DDMSコードのSOCを使っています。」

(彼は国防総省専用無線ネットワークを使っていると言っています。)

LSO:「フライトディレクター、こちらはLSOです。」

グリーン(FD):「LSO ですか?...」

LSO:「DDMSコードとの接続をご希望でしょうか?」

グリーン(FD):「GCこちらはFDです。」

GC: 「フライトディレクター、こちらはGCです。」

グリーン(FD):「ビル内だけの我々の連絡回線に接続して下さい。」

GC: 「おっしゃっている意味が分かりません。」

グリーン(FD):「DDMSコード(国防総省専用無線ネットワーク回線)をビル内の連絡回線の1つに接続して下さい。」

GC:「了解」

T+12 min 37 sec

グリーン(FD):「GC、こちらはフライトディレクター。」

GC:「フライトディレクター、こちらGCです。」

グリーン(FD):「状況確保を行ってますか?」

GC:「行っていません。」

グリーン(FD): 「行って下さい。」

GC:「了解しました。」

T+13 min 27 sec

GC:「全てのフライト管制官は入力を止めて進行中の状況をロックして下さい。また全てのコンピューターの記録データのスナップショットを取り確実に資料保存を行って下さい。」

T+14 min 24 sec

グリーン(FD):「LSO、こちらはフライトディレクターです。」

LSO:「こちらはLSOです。」

グリーン(FD):「何か報告は入りましたか?」

LSO:「いいえ、何の報告もありません。」

T+15 min 06 sec

グリーン(FD):「各オペレーターの皆さん、非常事態計画書の写しがまもなく各コンソールに届けられます。もしFCOH(飛行管制運行ハンドブック)を持っていれば27ページ・ダッシュ4、ページ27-4から開始して下さい。皆さんのコンソールを決して変更しないで、全てのディスプレイのハードコピーを取って下さい。持っている全てのデータソースを確実にプロテクトして下さい。」

LSO:「フライトディレクター、こちらはLSOです。」

グリーン(FD):「LSOですか?」

LSO:「破片落下が収まってヘリコプターの進入許可が出るまでおよそ50分かかります。」

グリーン(FD):「どの時点から50分ですか、LSO?」

LSO:「OK、爆発からの時間です。」

T+21 min 53 sec

ネスビット:「こちらは、ヒューストンのミッション管制室です。この時点で分かっている情報を繰り返してお伝えします。我々は、今朝アメリカ東部時間の11時38分に明らかに正常な打ち上げを行いました。ロールプログラムを完了してスロットルダウンとエンジン・スロットルを104パーセントへ戻すまでの上昇段階は正常に見えました。その時点で明らかな爆発が起こりました。その後、追跡クルーから宇宙船操縦技士にロケットが爆発しておよそ北へ28.64度西へ80.28度の射場海域へ落下したようだと伝えられました。

「その時点で、ロケットからのデータは途絶えました。ミッション管制室のフライトディレクターのジェイ・グリーンの点呼によると、異常を示すものは何もなく、データが途絶えた時点までにエンジン或いは固体ロケット或いはその他のいかなるシステムにも問題はありませんでした。繰り返しますが、これは第一報の情報です。現時点で、我々がもつ情報はこれが全てです。今後の情報に気を付けて下さい。 現場区域には救助部隊がいます。 他にも救助艇や航空機が駆けつけています。救助隊が落下地点にパラシュート降下しているような物も見ています。我々は、新しい情報が入り次第お伝えします。こちらは、ヒューストンのミッション管制室です。」


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誤訳の可能性もありますので、詳細は必ず下記のページで御確認ください。
http://spaceflightnow.com/challenger/timeline/



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