科学者達は、月と数十年間いちゃついた後今度は、平手打ちを食らわせようとしています。
7月31日の夜明け数時間前に、彼らは月の南極へルナ・プロスペクター探査機を時速1,100マイル以上の猛スピードで突進する2トンの車に等しい衝撃力でぶつけるつもりです。 彼らの目的は、月に凍った水が存在するのかどうかの疑問に決定的に答える為に十分な水蒸気を巻き上げることです。 最近の調査結果が強く示唆しているように、もし月に十分な量の(水が)存在するならば、月のH2O(水素と酸素)は、計り知れないような科学的そして経済的な価値に成り得ます。 月の地表組成を調査するミッションの為に1998年1月に打ち上げられたNASAの6300万ドルのプロスペクターは、とにかく今、神風特攻をしてミッションを終わらせるスケジュールが設定されました。 それで、このチームはこれを有益なものにする為に、ロングショト・チャンスをとる事を決めました。 しかし彼らは、水蒸気かその副産物のヒドロキシル(OH)イオンを明白に検出する成功の可能性をわずか10パーセントと見ています。 プロスペクターをリードするルナ研究所の科学者アラン・バインダーは、衝突で巻きあがる水蒸気は最高で、宇宙と地上で待機している 望遠鏡によって観測されるのに充分な40ポンドほどになるかもしれないと言っています。 この計画では、プロスペクターは水平角に近い浅い角度でダイブして、直径26マイルの目標クレーターの縁をかろうじてクリアーし、遠いほうの壁の根元に突っ込むことになっています。 しかしテキサス大学のグループを率いるエンジニアのデイビッド・ゴールドスタインは、間違った方に進む可能性があるという気力をくじくようなリストを提出しました。 プロスペクターの太陽エネルギーで動くバッテリーは、水曜日の部分月食で暗闇が長くなり枯渇する可能性があります。 そのロケットは、燃料を使い果たして正常に噴射しないかもしれません。そしてクレータの縁にぶつかってしまうかもしれません。 それは、海の上の石のような領域を飛び越えてしまうかもしれません。 あるいは、莫大な雪のたい積物を猛スピードで突き抜けて塵だけを掘ってしまうかもしれません。我々はそれを知りようがありません。 木曜日このチームは現在高度20マイルの軌道を回っている354ポンドの探査機を、ロングショットのエンドゲームの為に回復させます。 彼らは探査機のスピン率を上げて、その遠心力が残っている燃料をスラスターへ送れるようにして、衝撃の深さを最大にする衝突角度を急勾配にできるだけの燃料供給を行なう為に高度を上げる予定です。 彼らは、プロスペクターが月の後ろへ消えて衝突する直前に最終指令を送ります。 重要な最終エンジン点火は、通信ブラックアウトの間に起こります。 何のトラブルもないと仮定すると、プロスペクターは月の南極から再び現れ、衝突から10秒前で秒速およそ1マイル(およそ3,800mph)で 地球方向の表面をかすめ飛びます。 この時点で、地球軌道にあるハッブル望遠鏡やミリ波天文衛星、ハワイのケック望遠鏡、テキサスのマクドナルド天文台の砲列が、月のゼロ地点に照準を合わせます。 科学者達は、目標地域のほこりだらけの表層のおよそ2パーセントが細かい霜あるいはもしかするとアイスキューブのような結晶状の水氷だと理論づけています。 テキサス大学の天文学者エドウィン・バーカーによると、プロスペクターによって巻き上げられた塵の柱のほとんどは、すぐに表面に落ちる<でしょうが水蒸気の雲は数時間残る可能性があります。 水分子は真空の中で拡散して落下し、日に照らされた高温の月面上を数千平方マイルにわたって、熱いフライパンの上に落ちた水滴のようにはね回るはずです。 その間にこの分子は太陽光線によって分解され、月の南半球のOH分子のスカルキャップのような「薄い煙霧」を形成します。 地上の望遠鏡の郡列は、可視光線、赤外線、紫外線の全ての波長で記録を試みるでしょう。 科学者達は、水を見つけるためには彼らの探査機を太陽の光が当たらない所へ送らなければならないことに気づきました。 アポロ宇宙飛行士によって持ち帰えられた月の試料は、月の内部は乾いており、表面には水を豊富に含んだ彗星が降り注いでいることを示唆しています。 科学者達は、沈澱した水は月の極の永久に暗い地域に移動したのではないかと疑っていました。 ルナ・プロスペクター関連記事集 |