太陽の極大期を迎え、コンプトン・ガンマ線観測衛星を失った今、太陽を観測する主力衛星は、「Solar and Heliospheric Observatory 太陽と太陽圏観測衛星SOHO」です。現在大活躍中のSOHO衛星は、過去に一時は皆がそのミッション継続を諦めかけた程の恐ろしい体験を持っています。
SOHO衛星は、1995年に12月に太陽の観測目的で打ち上げられ、そのミッションを順調に続けていましたが、1998年6月に地上との通信が突然に途絶えてしまいました。原因がはっきりせず衛星損失という暗い雰囲気が流れました。 1998.06.28 地球基地とSOHO 探査機との通信が途絶える。(FLORIDA) テレメトリーデータの解析からSOHOのソーラーパネルが太陽の方を向いていないことがわかりました。NASAはミッションの終了を宣言せずに、いつはソーラーパネルが太陽の方を向くことに淡い期待をかけて監視を続けることを決定しました。 07.01 NASAは使えなくなっている SOHO 衛星の監視続ける事を決定。(CNN) 7月末に、NASAのDSN深宇宙ネットークの地上レーダー網がSOHOの位置を捉えました。しかし衛星がスピンをしている為に通信確立は困難でした。 1998.07.29 地上レーダーがSOHO衛星を発見。(NASA) 通信が途絶えて6週間が経った8月始めに地上のエンジニア達は、SOHOとの通信再確立に成功しました。 1998.08.04 SOHO衛星との通信回復。(NASA) 1998.08.05 NASAは故障中のSOHO衛星とコンタクト。(CNN) SOHO衛星が地上からの指令に反応を示した為に、ミッションが再開できるかもしれないという希望がでてきました。 1998.8.19 故障中の太陽観測衛星が動き出すかもしれない。(CNN) 燃料が凍っている為に姿勢制御を取り戻すのは非常に困難に思われましたが、エンジニア達の懸命の努力が続きました。 以下は8月末から10月までかけて行われた復旧作業のステータスレポートの翻訳文です。 SOHO太陽観測衛星の姿勢回復作業ステータスレポート。(NASA) そして、9月半ばエンジニア達は、ついにSOHOのコントロールを完全に取り戻しました。 1998.09.17 エンジニアは無事SOHO衛星もコントロールをう取り戻しました。(NASA) 衛星の制御は取り戻したものの、長い間厳しい宇宙環境にさらされていた観測機器の光学系が心配されました。 1998.10.11 SOHO衛星が眠りから覚めそうです。(NASA-SSN) 観測機器は正常に働き写真撮影にも成功しました。SOHO衛星はエンジニア達や科学者達の懸命の努力で見事な復帰を成し遂げました。 1998.10.17 SOHOはほぼ通常任務に戻る。(NASA) 1998.10.13 SOHO太陽観測衛星が復帰して最初の写真を撮影。(NASA) 通信途絶の原因は、当初衛星のソフトウェアーの不具合と報告されていましたが、その後の報告書は、地上管制官の運行業務の怠慢だと結論しています。 |