1999年2月 ハッブルがピンチになりSTS-103の早期実施を検討。
ハッブル宇宙望遠鏡の6つジャイロスコープのうち3つが故障して予備がなくなり、あと1つでも故障すると観測活動ができなくなるピンチに陥りました。 NASAは2000年6月に予定されていたハッブル・サービスミッションを早める検討を始めました。 関連記事 NASAはハッブル・サービスミッション2つに分割 NASAは当初2000年6月に予定されていた第3回ハッブル・サービスミッションをサービスミッション3Aとサービスミッション3Bの2回に分けて行うと発表しました。 サービスミッション3Aは1999年10月28日に行なわれ、3Aでやり残された作業は2000年後期に予定されている3Bで行なわれる事になりました。 関連記事 交代された2つのミッション NASAの計画では、最近決定した1999年10月28日のハッブル・サービスミッション3A(STS-103)に先立って9月半ばにエンデヴァー号による地球表面レーダー測量(STS-99)が予定されていました。 しかし7月のコロンビア号の打ち上げで明らかになった電線損傷問題でシャトル全艦の点検が必要になりました。ところがディスカバリー号は最も多くの点検修理が必要だった為に打ち上げを11月19日に延期しました。その結果STS-99とSTS-103の打ち上げ順番が入れ替わることになりました。 関連記事 電線修理でシャトル・ミッションのスケジュール全体が延期 シャトル全艦の電線点検で予想以上に多くの損傷個所が見つかり、その修理作業にもっと多くの時間を取るためにNASAはシャトルのミッション・スケジュール全体を遅らせて次のように再編成しました。 1999年12月2日 STS-103/ディスカバリー号 ハッブルサービス3A 2000年1月13日 STS-99/エンデヴァー号 レーダー測量ミッション 2000年2月10日 STS-101/アトランティス号 ISS組立飛行2A.2 関連記事 ハッブル宇宙望遠鏡がセーフモードに入りました。 NASAのハッブル宇宙望遠鏡は、土曜日の午前8時30分ESTころに第1ジャイロスコープが動作を停止してセーフモードに入りました。 残っている作動中のジャイロは2つだけとなり、科学任務は現在1999年12月6日に打ち上げ予定のスペースシャトル・ディスカバリー号によるサービス・ミッション3Aが完了するまで停止されます 関連記事 Y2K問題で起こる打ち上げ期限 NASAはいかなるY2K問題にも遭遇したくないので、シャトルを年末までに地球に帰還させようと考えています。そのためには宇宙での2〜3日の予備日を考えると12月14日までに打ち上げが必要です。それを超える場合はミッションの短縮も検討されています。 ディスカバリー号のエンジンを取り替えで打ち上げ延期 ディスカバリー号に現在取り付けられているエンジンのクーラント・システム内で長さ半インチのドリルの刃先の破片が見つかりエンジンの交換を行なう為に打ち上げが3日から4日遅れる可能性が出てきました。 関連記事 11月08日 新たな問題で打ち上げは12月6日に延期 シャトルのブースターの自爆システムの一部であるケーブルにも問題が見つかり打ち上げは12月6日に延期されました。 関連記事1 関連記事2 電線点検の遅れで打ち上げは12月9日に延期 ディスカバリー号の電線点検の遅れで打ち上げは12月9日に延期されました。 点検進捗状況の評価でNASAは打ち上げは12月11日に延期 NASAの上級管理官がディスカバリー号の点検進捗状況の再評価を行なった結果、打ち上げ目標日は12月11日土曜日になりそうだと発表しました。 関連記事1 関連記事2 12月04日 修理の記録書類が打ち上げを脅かしました。 NASAは12月11日に打ち上げ日を遅らせた1日後の金曜日に、記録書類に多くの配線修理の1つが不完全なまま残っているのを発見しました。 先月ある傷ついた電線が修理されたという表示がありませんでしたと、局のスポークスマンのブルース・バッキンガムが述べました。 関連記事1 新たに発見された電線損傷で打ち上げは12月12日に延期。 打ち上げ前最終点検でこの電線の導体部の8分の1インチが露出していることが明らかになり、マネージャーはこの電線の取り替を指示したと、KSCのスポークスマンのジョエル・ウェルズが述べました。 その結果ディスカバリー号が最も早く打ち上がる場合の日程は12日日曜日の午後1時42分になりそうです 関連記事1 関連記事2 燃料パイプのくぼみが発見され打ち上げは12月17日に延期。 ディスカバリー号のの打ち上げは、作業員達がくぼんだ燃料パイプを取り替える為に来週後半まで延期されるとNASAが伝えました。 関連記事 12月14日 シャトルの打ち上げカウントダウン開始。 度々遅れていた故障したハッブル宇宙望遠鏡へ向けてのスペースシャトル・ディスカバリー号の打ち上げのカウントダウンが火曜日に開始しました。 関連記事 12月17日 タンクの溶接問題で打ち上げは18日に延期。 ディスカバリー号の打ち上げは24時間延期されました。 理由はマネージャーが、1970年代後半から1980年代前半まで遡って書類を再検査して製造業者が何年も前にシャトルの主推進剤パイプを正しく溶接して組み立てたことを証明するのに時間が必要だからです。 ディッチモアーはその契約業者の社名を挙げませんでしたが、報道機関に公開されているシャトル・オペレーション・マニュアルは、問題になっている直径17インチのパイプの製造業者をカリフォルニア州Los Alamitosにある合衆国大手のアローウェッド・プロダクト社と特定することができます。 明日の気象予報では、(気象条件によって)中止になる確率は60パーセントです。 12月18日 天候不良の為に打ち上げは19日に延期。 NASAは天候不良の為に今日の打ち上げを中止しました。明日再度打ち上げが試みられます。 明日の打ち上げ日時は、日本時間午前10時21分です。ランチウィンドウは43分です。 明日も天候が悪くなる確率は70パーセントあります。 12月19日 天候が回復しない為に打ち上げは20日に延期。 天候が回復しない為に打ち上げは20日午前9時50分に延期されました。 12月20日 ディスカバリー号はやっと打ち上げられました。 シャトルの打ち上げとしては、記録的な延期回数を作ってディスカバリー号はやっと打ち上げられました。 公式打ち上げ時刻は9:50:00.069でした。 ディスカバりー号の打ち上げ CNN提供(RealVideo) 12月22日午前9時34分 ディスカバリー号はハッブルとドッキング。 ディスカバリー号はロボットアームでハッブル宇宙望遠鏡を捕まえカーゴベイのサービス台へ無事固定しました。 カーゴベイに固定されたハッブルの全体画像 12月23日 第1回船外活動。 宇宙飛行士のスティーブ・スミスとジョン・グランスフェルドは、今回のハッブル宇宙望遠鏡サービスミッションの2つの最優先作業である6つのジャイロスコープとバッテリー電圧温度改善キットの取りつけを無事完了しました。 その船外活動の時間は8時間15分におよび、史上第2番目の長さのものとなりました。 12月24日 第2回船外活動。 宇宙飛行士マイク・フォールとクロード・ニコリアは、ハッブル宇宙望遠鏡のメイン・コンピュータと高精度誘導センサーを新しい物と交換しました。 関連記事 12月25日 第3回船外活動。 宇宙飛行士のスティーブ・スミスとジョン・グランスフェルドは、故障した無線送信機の交換と記録装置を新型の半導体式の記録装置へ交換し、また断熱材の一部を新しい物と交換して今回のサービス・ミッションの作業全てを無事に完了しました。 関連記事 12月25日 シャトル初めて軌道上でクリスマスイブを過ごす。 シャトルのミッションでは初めてクリスマスにかかりました。NASAも色々な演出を行ないました。 関連記事 サンタクロースがディスカバリー号に(RealVideo) 12月26日 ハッブル宇宙望遠鏡は軌道へ再投入。 12月26日午前8時03分にハッブル宇宙望遠鏡は軌道へ再投入されました。 アメリカではクリスマスのこの日、ディスカバリー号のクルーは、世界中の天文学者や天文家へのクリスマスプレゼントとして新しくなったハッブル宇宙望遠鏡を軌道へ再放出しました。 ハッブル放出中のムービー(RealVideo) 12月28日 ディスカバリー号はケネディ宇宙センターへ着陸。 ディスカバリー号は、ケネディ宇宙センターの横風が制限値を超えていた為に第1回の着陸チャンスを見送り、それよりも90分遅れた午前9時01分に無事KSCへ着陸しました。 STS-103 ミッションは無事終了しました。 公式ミッション・タイム 28日午前9時00分47秒:メインギア(主脚)着地 28日午前9時00分58秒:ノーズギア(前輪)着地 28日午前9時01分58秒:車輪停止 ミッション所要時間:7日23時間11時間34秒 ディスカバりー号の着陸(RealVideo) 関連記事 |